
ピラティススタジオTRY 代表の荒井です!
肩関節は構造上、小さい受け皿に対して大きな骨頭がはまっているという非常に不安定な関節となっています。そのおかげで広い可動域を確保できる訳ですが、これを安定させているのがローテーターカフなのです。
今回はそのローテーターカフについてご紹介します。
- ローテーターカフの基礎解剖
- インナーマッスルとアウターマッスル
- ローテーターカフの調整方法
- まとめ
ローテーターカフの基礎解剖
ローテーターカフ(回旋腱板)は、棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋の4つの筋から構成される筋群になります。
上腕骨頭を取り囲むようについており同一部位についていく筋肉ですが、細かくは付着部位が異なるためチェックしていきましょう。
◯ 棘上筋
起始:肩甲骨の棘上窩の内側2/3
停止:上腕骨の大結節上部、肩関節包
働き:肩関節の外転。肩関節の運動時に上腕骨頭を関節窩に支持すること。
神経:肩甲上神経、C4、C5、C6
◯ 棘下筋
起始:肩甲骨の棘下筋窩の内側2/3
停止:上腕骨の大結節内側面、肩関節包
働き:肩関節の外旋。肩関節の運動時に上腕骨頭を関節窩に支持すること。
神経:肩甲上神経、C4、C5、C6
◯ 小円筋
起始:肩甲骨外縁の背側上2/3
停止:上腕骨の大結節下面、肩関節包
働き:肩関節の外旋。肩関節の運動時に上腕骨頭を関節窩に支持すること。
神経:腋窩神経、C5、C6
◯ 肩甲下筋
起始:肩甲骨の肩下窩
停止:上腕骨の小結節、肩関節包
働き:肩関節の内旋。肩関節の運動時に上腕骨頭を関節窩に支持すること。
神経:上・下肩甲下神経、C5、C6、C7

となっています。
これらの筋肉により、上腕骨頭を関節窩に支持することでスムーズな関節運動が可能となっています。ローテーターカフはインナーマッスルであり、肩関節を大きく動かすほどの力はありません。そのため、三角筋や上腕二頭筋などの強力なアウターマッスルと組み合わせ働くことで、その役割を担うことができるのです。
インナーマッスルとアウターマッスル
インナーマッスルとアウターマッスルの役割と関係性について見ていきましょう。
インナーマッスル(深層筋):
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安定性の提供: インナーマッスルは、体の中心に位置し、骨盤、脊椎、肩などの安定性を提供します。これにより、正確で効率的な動きを可能にします。
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姿勢の維持: インナーマッスルは姿勢を維持するのに重要です。特に、体幹(コア)の深層筋が姿勢の安定性を確保し、背骨の正しいカーブを保ちます。
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身体の深層のサポート: インナーマッスルは、関節の安定性を提供し、身体の深層に位置するため、外部からは見えにくいですが、重要なサポート機能を果たします。
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運動の制御: インナーマッスルは、微細な運動やバランスをコントロールし、動きの正確さを向上させるのに役立ちます。
アウターマッスル(表層筋):
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力の発揮: アウターマッスルは、力を発揮して動きを生み出します。これにより、身体を動かし、外部の活動を行うことが可能になります。
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外見の形成: アウターマッスルは、体の外見や形状に影響を与えます。トレーニングによって発達させることができ、美容やパフォーマンスの向上に寄与します。
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エネルギーの供給: アウターマッスルは、より大きなエネルギーを必要とする動きに関与し、一時的な力や速さを提供します。
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外部の動作の制御: アウターマッスルは、日常生活やスポーツ、フィットネス活動など、外部の動作を制御するために使われます。
このように役割の違いからインナーマッスルとアウターマッスルは相互補完的な役割を果たしており、共同して動きや姿勢を制御しています。
肩関節では、このような関係をフォースカップルと呼び、強力な三角筋の働きを、棘上筋がサポートしているのです。結果として、上腕骨頭が関節窩にぶつかることなく、転がるようにして腕が上がります。このような働きは体のいたるところで起こっているのです。

ローテーターカフの調整
それでは、ローテーターカフの調整エクササイズをしていきましょう。現代人は肩よりも上に腕を上げる機会が少なく、肩関節の機能を十分に発揮できていません。結果として、上腕骨頭を関節窩に支持する働きも弱まり、機能が破綻してしまうのです。
その状態で、急に高いところのものを取ろうとしたり、重たいものを持ち上げようとすれば過剰な負担がかかり肩関節の疾患につながっていますのです。この辺りは、以前紹介させていただた肩甲骨の話題と絡めて見ていただければと思います。
● ローテーターカフ調整エクササイズ
姿勢:座位
やり方:
- あぐらをかいた状態で背筋を伸ばす。
- 対象の腕を膝の斜め前に伸ばし、リング(台)の上に乗せる。
- 吐くと同時にリングを圧迫するように押し下げる。
- 吸うと同時にゆっくり戻す。
- 繰り返す。
ポイント
- リング(台)を潰すより、肘が重くなるようなイメージをする。
- 姿勢が崩れないように気を付ける。
- 反発力があるものの方が感覚を掴みやすい。
- あくまで強化ではないため目一杯やらない。

まとめ
大きな筋肉の下には必ず、重要で見落とされやすい小さなインナーマッスルが頑張っています。これらの筋肉を大切にして上げることで、大きな筋肉がスムーズに使われるだけでなく、不調などの要因を減らすことにもなります。特に肩関節周囲は痛みを感じるセンサーが多いため、ケアが大切になります。
ピラティススタジオTRYでは、四十肩・五十肩などの不調に対しても痛みの状況を見ながらエクササイズをしていただいております。早期の回復を願うのであれば、安静にしすぎてもむしろ逆効果ですので、ぜひご相談ください!
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