ピラティススタジオTRY 代表の荒井です！

首の付け根でもなくその下が痛いということはありませんか？
僧帽筋や肩甲挙筋といった肩凝りと関連性の深い筋肉は、表面上にもあり分かりやすいですが、今回見ていく上後鋸筋は関節を安定させるインナーマッスルとなっており、体表面から深い位置に存在します。

普段注目されにくい筋肉ですが、現代人はこの筋肉が固まりやすくなっているためチェックしていきましょう！

この筋肉は”上”後鋸筋ということで、下後鋸筋も存在します。位置の違いやそれぞれの働きが違うため見ていきましょう。

このようになっています。

どちらも呼吸の補助筋として呼吸をサポートしていますが、上後鋸筋は胸郭を後上方へと引き上げています。
また名前の似ている前鋸筋は肋骨から肩甲骨に付着し、主に肩甲骨の動きに関与しているため、”前””後”での違いでも働きが逆というわけではないのです。

上後鋸筋は背骨と肋骨に付着を持つことから背骨の回旋にも関わると言えます。
しかし、そもそもがインナーマッスルであるため、大きな回旋を生み出すよりもあくまでその補助をする形になります。

では、この筋肉が現代人に固まりやすい理由として頭部前方偏位が挙げられます。

PC作業やスマホなどにより、多くの方が頭部前方偏位姿勢となっていますが、この姿勢では前側にある胸鎖乳突筋や後ろ側にある板状筋などのアウターマッスルが硬く縮んでしまっています。そのため、上後鋸筋のようなインナーマッスルが働きづらい環境になっており、例えば首の回旋を行う際に安定した回旋を引き出すことができないのです。

関節の構造などは異なりますが、これは以前『ローテーターカフとは』という記事でお伝えさせていただいたアウターマッスルとインナーマッスルの関係性と同じになります。

　さらに、この姿勢による問題は肩甲骨付近で強く。近年行われた研究によると上後鋸筋はすぐ表面にある肩甲骨の上角により「削られ」てしまい痛みを引き起こす可能性があることを示唆されているのです。

首から肩の後面には僧帽筋や肩甲挙筋などがあり、肩甲骨の内側上角に付着します。
猫背・巻き肩・頭部前方偏位姿勢ではこれらの筋肉が引っ張られてしまい硬く緊張。また、胸椎・肩甲骨間にある菱形筋も硬直することで、ゴリゴリと音がしたり滑りが悪くなり、肩甲骨の滑走性を失ってしまうのです。

このような姿勢の要因により胸郭後面の組織がタイトになり、上後鋸筋が圧迫されることでこのような痛みを引き起こしてしまうのです。

　これを改善するためには、まず表層にある僧帽筋や菱形筋などのアウターマッスルを緩め、その上で上後鋸筋の活性化を図ることが重要だと思われます。

上記の通り、本来であれば僧帽筋や菱形筋などの筋肉をストレッチや、リリースにより緩めたのちに上後鋸筋のエクササイズが望ましいですが、今回は割愛させていただきエクササイズをしっかりと見ていきましょう。

目立たない筋肉ではありますが、このようなインナーマッスルが機能低下を起こすことで上にあるアウターマッスルの機能も低下していきます。今回のケースではアウターマッスルからでしたが、逆のことも言えるため常にこの両者は相互関係が成り立っていると言えます。

フィットネスジムや家でのトレーニングでは、これらの判別がうまくいかずにトレーニングによりかえって悪化してしまうことが考えられます。ピラティススタジオTRYではこれらのインナーマッスルに対しても適切なアプローチを行うことで、姿勢や不調改善のお力になれれば嬉しく思います。